【戸塚ランドセルインタビュー】伝統からの挑戦。子どもの成長を見守るランドセル

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ランドセルは鞄づくりの延長線上にあるもの、という印象を持つ方は多いかもしれません。しかし、ランドセルは専門の鞄メーカーだけが作るものとは限りません。

寛永五年(1628年)創業の東玉は、日本伝統の人形製作を支えてきた老舗企業。雛人形や五月人形を通じて、長きにわたり子どもの健やかな成長を祈る文化を育んできました。そんな東玉の新しい挑戦が、ランドセルブランド「戸塚ランドセル」の立ち上げです。今回は、東玉の本店営業部 近藤隆裕さんにお話を伺いました。

目次

初挑戦のランドセル作りには各メーカーの「いいとこどり」ができる強みも

東玉がランドセルブランドを立ち上げた以前に、既にランドセルのセレクトショップとしての取り組みがスタートしていたといいます。

近藤さん

東玉の店舗では、最大12社のランドセルの背負い比べができます。これは埼玉県内最大級を誇ります。

カバーミー編集部

カバーミーの参画メーカーさんも多数揃っていますね!

近藤さんは、入社初年度に新プロジェクトとしてランドセルの販売を一任されたそう。セレクトショップという立ち位置で、さまざまなメーカーのランドセルについて勉強を重ねるうちに、作りたいランドセルのイメージが固まってきたと言います。

近藤さん

いろいろなメーカーのランドセルを調べるうちに、それぞれの強みや弱みがわかるようになりました。各社の良いところを寄せ集めて、自社のオリジナルブランドに取り入れたいと考えました。

たとえば、製造を依頼する職人は、技術や機能に定評があり、各社から高い評価を受けている会社に委託しているとのこと。さまざまなメーカーのランドセルを見てきた経験が、製品づくりの方針に生かされているのです。

作りこまれたペルソナがブレない軸を作る

理想のランドセルのイメージを形にするために大切にしているのが、どんなランドセルをどんな人に届けたいのか、というコンセプト。コンセプトがブレれないようにと考えたのが、お客様像(ペルソナ)をしっかりと作り込むことでした。

近藤さん

こういったランドセルが作りたい、という思いがあっても、どうしてもさまざまな要因で、最初に目指していたものから離れていってしまうことも多いと思います。それを防ぐために、まずお客様像(ペルソナ)を作ることから始めました。

実際に拝見してみると、「ママのペルソナ」「女の子のペルソナ」「男の子のペルソナ」と分けられ、価値観や好きなもの、思考や行動などが書き込まれています。

近藤さん

コンセプトがブレないようにということは常に意識しています。コンセプトさえブレなければ、他がどうあろうと、何と言われようと、それは強みになると考えています。

しっかりと作り込まれたペルソナは、ランドセル作りの軸を支える重要な土台となっているのです。

伝統にも流行にも媚びない新しい挑戦

東玉のオリジナルブランド「戸塚ランドセル」。そのブランド名にも新しい挑戦への覚悟が見られます。

近藤さん

オリジナルブランドを立ち上げるにあたり、会社名である「東玉」や、それまで培ってきた「人形づくり」とリンクするようなブランド名にすることも考えましたが、あえて今までの事業とは切り離し、ひとつのランドセルブランドとして勝負することにしました。

デザインについても、東玉が得意とする「和のテイスト」に振り切ることを一度は検討したそうです。しかし、ただ伝統を強調するだけではお客様のニーズに応えられないと考え、試行錯誤を重ねたといいます。」

近藤さん

ランドセルを開けた部分のデザインには和の要素を少し取り入れています。ただ、全体的には北欧系のオシャレなテイストを目指しました。

カラーバリエーションは、他社が多彩な色展開を競う中で、戸塚ランドセルならではの厳選した13色に絞られています。自然から着想を得たナチュラルな色合いが特徴で、中でも淡い紫色の「ムーンパープル」が人気です。

人気カラー「ムーンパープル」
自然から着想を得たナチュラルな色合い
近藤さん

戸塚鞄のランドセルは、自然に存在する色を取り入れたナチュラルテイストを大切にしています。ブランドのコンセプトに合わない色は、たとえ人気があっても製作しません。これも、コンセプトのブレを防ぐことに繋がっています。

さらに、ランドセル販売では、直接お客様と向き合える喜びを感じているといいます。

近藤さん

ランドセルは人形と違い多くの機能があります。その説明を通して、お客様と近い距離で接客できるのは大きな魅力ですね。マンツーマンでじっくりお話しし、直接お客様の声を聴けるのは、とても嬉しいです。

戸塚ランドセルは、伝統にも流行りにも媚びず、ブランドの独自性を守りながら他にはない魅力を生み出しているのです。

牛革ランドセルで大容量。社員自らその背負い心地を立証

戸塚ランドセルは、素材へのこだわりも際立っています。そのひとつが、牛革を使用しつつ大容量を実現している点です。特に、背あてと肩ベルト裏の素材にソフト牛革を採用することで、なじみの良い背負い心地や、通気性の良さを追求しています。

近藤さん

革の性質は、背負ったときの温度や感触にも影響します。背裏に牛革を使うことで、思った以上に柔らかく快適になります。実際に長時間背負うとその違いがよくわかります。

近藤さん自ら、登山で牛革と人工皮革のランドセルを3時間ずつ試してその背負い心地を検証。その結果、背中の疲れ具合が明らかに違い、牛革のほうが快適で背負いやすいことを実感したそうです。ランドセルは日々長時間使うもの。あらためて、背負い心地の重要さを感じたといいます。

さらに、牛革の良さは修理を通じても実感されているそう。

近藤さん

3~4年後に修理のために戻ってきたランドセルを見ると、牛革は想像以上に柔らかくなっているのに対し、人工皮革はまだ硬さが残っています。使い込むことで、素材の違いがよく分かります。

素材選びから実際の使用感まで、徹底的に考え抜かれたランドセル作りへの姿勢が伺えます。

子どもの成長を見守るランドセル

戸塚ランドセルは、おおらかな自然の樹木のように、子どもたちがすくすくと成長してほしいという願いを込めて作られました。その象徴として、ブランドロゴには桐の葉が描かれています。

近藤さん

桐の木は10~15年で成木となる成長の早い樹木です。かつては子どもが生まれると桐の木を植え、成長した木で嫁入り道具を作る習慣がありました。この桐の葉をデザインに取り入れることで、自然や成長への願いをランドセルに込めています。

戸塚ランドセルが生まれた岩槻の地は、古くから清らかな水と良質な桐の木に恵まれ、人形づくりの町として発展してきました。この自然がかたちを変えて人形となり、子どもたちの成長を見守ってきたように、戸塚ランドセルもその想いを受け継いでいるのです。

近藤さん

私たちのランドセルは、自然や成長を象徴するデザインだけでなく、子どもたちの日常に寄り添うものを目指しています。おおらかな樹木のようにすくすくと育ってほしいという思いが、製品作りの原点です。

桐は虫に強く、人形作りにも使われてきた素材です。人形作りを通じて育まれた想いが、ランドセル作りにも息づいているのです。

12社の背負い比べでお子さまにぴったりのランドセルを

400年の伝統と職人技を基盤に、挑戦を続ける「戸塚ランドセル」。店舗では、戸塚ランドセルを含め12社のランドセルを実際に背負い比べることができます。店舗では、各ブランドに精通したスタッフと相談しながらランドセルを選べます。東玉(戸塚ランドセル)店舗の詳細は公式HPをご確認ください。

ぜひ一度、店舗を訪れ、その魅力を直接体感してみてはいかがでしょうか。

カバーミーでは、戸塚ランドセルの最新カタログを簡単に請求できます。ランドセル選びの第一歩として、ぜひご利用ください。

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